第四紀研究
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新潟県柏崎平野における上部更新統の層序と古環境の復元
岸 清宮脇 理一郎宮脇 明子
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1996 年 35 巻 1 号 p. 1-16

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抄録

柏崎平野に分布する中部更新統最上部~上部更新統は,青海川層,安田層,大湊砂層および番神砂層からなる.
安田層は下部・上部の2部層に区分され,両部層ともに,外海から閉鎖された内湾において,淡水~汽水環境下で堆積した海進に伴う谷埋め性の地層である.安田層上部層が形成する安田面は,南関東の下末吉面に対比される.
本稿において新称した大湊砂層は,安田層下部層を整合に覆う水成の海浜~浅海堆積物である.大湊砂層とそれを整合に覆う風成の番神砂層との境界付近に,中子軽石層(約150ka~130ka)が挾在することが確認された.このことから,大湊砂層上面は,安田面と一連の下末吉期における離水面に相当し,大湊砂層と安田層上部層とは同時異相と判断できる.すなわち,下末吉海進期において,柏崎平野の前面に砂州が形成され,大湊砂層は砂州の構成層,安田層上部層はその背後の内湾に堆積した地層であり,バリアーシステムの存在が示唆される.
砂州はその後の海退期のはじめにも存在し,背後の内湾ではおおむね内湾底が干上がるように安田面が離水した.また,大湊砂層および安田層離水後,下末吉期,小原台期,その後のそれぞれの海退期に,砂丘堆積物である番神砂層が堆積し,古砂丘は約5万年前にはほぼ固定したものと考えられる.

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