2009 年 19 巻 4 号 p. 321-334
本稿では,都道府県(州)内の所得格差の大きさが,人々の主観的健康状態とどのような関連があるのかを検討した。日本は日本版General Social Survey 2000年調査の個票,米国は,Current Population Survey, March 2002年調査の個票を用いてマルチレベル分析を行った。サンプル全体での推計結果から,ジニ係数の限界効果は,日本は0.299であり,米国は0.054であることが示された。特に,高齢者層では最も限界効果が大きく,その値はそれぞれ日本1.124,米国0.250であった。日本,米国ともに所得格差が大きい都道府県(州)では人々の主観的健康状態が悪い確率が明確に高いことが示された。