日本環境感染学会・医療関係者のためのワクチンガイドラインには麻疹・風疹・ムンプス・水痘の感染制御を目的とした抗体価の判定基準等が記載されている.2018年日本国内では麻疹及び風疹が流行したが,新潟県内病院関係者の麻疹等感染対策の実態は不明であった.上記対策推進を目的として,我々は新潟県内の病院126施設に対して調査を行った.回答のあった89施設中,自施設病院関係者に対して上記4疾患のワクチン接種歴の把握もしくは抗体価測定を実施している病院は,61施設(68.5%)であった.抗体価測定を実施していた施設中,抗体価の判定基準を外注検査会社基準値とした病院が17施設(29.3%),ワクチンガイドライン基準値とした病院が36施設(62.1%)であった.
ワクチンガイドラインの基準値は,医療関係者が感染を防御するための抗体価であり,外注検査会社基準値より高めに設定されている.一部の病院では基準値の違いが認識されずに外注検査会社基準値を感染防御の抗体価判定基準に用いている可能性が明らかになった.