2005 年 17 巻 97 号 p. 215-227
化学的に均一な糖鎖 (主に蛍光ラベルされた糖鎖) を用いたいくつかの糖鎖関連酵素の基質特異性解析は、酵素の生体内での基質を明らかにする。その解析により、酵素が加水分解部位あるいは糖転移部位のみならず、その部位からかなり離れた基質部分も認識する場合のあることが明らかになってきた。5糖、6糖、場合によっては10糖以上の単位で糖鎖を認識し、ある部分は厳密に、ある部分はあいまいに認識している。また基質特異性が相補的な酵素の組み合わせがあることも明らかになってきた。これらの一例を記述し、糖鎖関連酵素の厳密なそして寛容な広い領域の基質認識の生物学的意義について議論したい。