1998 年 10 巻 55 号 p. 393-403
アフィニティーリガンドを可溶性の荷電担体に結合させたものは、リガンドに親和力をもつタンパク質の電気泳動移動度を特異的に変化させる。われわれは、この結合物をアフィノフォア、これを使った電気泳動法をアフィノフォレシスと呼んでいる。アミノ基をスクシニル化したグルタチオンはリガンドを一つだけもつアフィノフォアの基材として有用である。このチオール基にヨードアセチル化したp-アミノフェニルグリコシドを結合させるとレクチンのアフィノフォアとなる。リガンドとしてマンノシドをもつアフィノフォアはエンドウマメレクチンの移動度を変化させた。中性糖を加えると、このアフィノフォレシスが競争的に阻害されるが、この阻害を解析すると、レクチンと中性糖の親和定数を微量の試料で高精度に決定できる。解析の原理、アフィノフォアの調製法、実験操作の要点について解説する。