日本外科系連合学会誌
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術後病理組織学的検査で結核性腹膜炎と診断された腸閉塞症の1例
紹野 進大杉 治司高田 信康竹村 雅至木下 博明
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2002 年 27 巻 4 号 p. 703-706

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抄録

症例は67歳の女性。繰り返す発熱, 腹痛にて入院精査となった。虫垂炎の疑いで外科紹介となったが, 血液学的炎症反応や腹膜刺激症状が軽度であったため, 抗生物質投与による保存的療法を行った。その後腸閉塞となり診断と治療目的で開腹術を施行した。開腹にて腸閉塞は索状物による内ヘルニアと診断された。腹膜および腸間膜全体に白色米粒大~粟粒大の小結節が多数あり癌性腹膜炎が疑われたが, 原発巣は不明であった。索状物を切離し, 腸間膜リンパ節と小結節を生検し, 病理組織学的検査にて結核性腹膜炎の診断をえた。原因不明の腹部症状のある慢性炎症性疾患では結核性腹膜炎も考慮すべきであると思われる。

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