日本外科系連合学会誌
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神経芽腫の生物学的特性の検索におけるFISH法の有用性
田尻 達郎田中 真司水田 祥代
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2000 年 25 巻 6 号 p. 835-840

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抄録

神経芽腫の生物学的特性の検索におけるFISH法の有用性を検討するために神経芽腫30検体に対してN-myc増幅, DNAploidy, 1p欠失に関してサザンプロット (SB), フローサイトメトリー (FCM), FISH法にて解析した。N-myc増幅に関してstage1, 2, 3の原発巣17例全例においてSBでは1コピーを示し, FISH法でも増幅細胞の割合は0%であった。stage 4, 4Sの原発巣8検体と転移巣5検体の解析ではSBで6コピー以上の増幅を示した5検体においてFISH法で増幅細胞が多数存在していた。stage4Sの肝転移巣においてSBでは1コピーであったが, FISH法で増幅細胞が16%認められた。DNA ploidyに関してFCMによるaneuploid14例中FISH法で1番trisomyを示す症例は10例で, 2番短腕trisomyを示したのは11例であった。FCMによるdiploid 6例中1番disomyを示す症例は4例, 1番trisomyを示したのは2例であった。1pの欠失は4例に認め, 4例ともN-myc増幅例で, 1番disomyの症例であった。FISH法は腫瘍内に存在する少数の悪性度の高い細胞の検出に適し, 詳細な染色体数の解析にも有用であると思われた。

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