日本外科系連合学会誌
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術後深在性真菌症に対するPCR診断法について
高月 誠鷲澤 尚宏加瀬 肇渡邊 正志小林 一雄
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キーワード: 深在性真菌症, PCR法
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2000 年 25 巻 5 号 p. 747-750

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抄録

周術期に中心静脈カテーテルを留置した症例のうち, 深在性真菌症が疑われた20例に, プライマー対 (B2FとB4R) を用いたPCR法とCAND-TEC, Fungitec G testや各種培養を行い, 臨床像との関連を症例ごとに検討した。20例中PCR陽性は8例であった。真菌の関与を最終的に診断した7例中, PCR陽性は5例であった。臨床的に感染状態にないと診断した5例の中に, PCR陽性が3例存在した。この結果, 血清学的診断とPCR法診断の一致率は20%であった。PCR法は有効な検査法であるが, 感度が高いため偽陽性となる可能性があると考えられた。一方, 深在性真菌症と診断したにも関わらず, PCR陰性であった2例については, 技術的な面を含め問題が残った。以上, 深在性真菌症に関するPCR法診断は, 臨床的には未だ検討を要する点があると考えられた。

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