日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔鏡補助下低位前方切除後ドレーン抜去部より小腸脱出をきたした1例
新藤 芳太郎硲 彰一井上 由佳兼清 信介渡邊 裕策吉村 清吉野 茂文岡 正朗
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2013 年 38 巻 4 号 p. 815-819

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抄録

症例は80歳男性.身長は162cm,体重は41kg,痩せ型で腹壁の薄い体型であった.直腸癌に対して腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した(Rb,3型,A,N2,H0,P0,M0,Stage Ⅲb).右下腹部12mmポート挿入部の筋膜・腹膜は閉鎖し,同創よりポート挿入とは別経路で吻合部後面にシラスコンドレーン(径10mm)を挿入した.術後発熱が持続し,縫合不全も完全には否定できなかったためドレーン留置が遷延していた.炎症反応は徐々に軽快し,術後11日目に腹腔ドレーンを抜去した.抜去4時間後より激しい腹痛,嘔吐を訴えたため,腹部を観察したところドレーン抜去部より暗赤色調の小腸が脱出していた.腸管は壊死していたため,緊急手術を行い,壊死した小腸を部分切除した.術後経過は良好であり,初回手術後21日目に退院となった.今回,われわれはドレーン抜去部より小腸が脱出した稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本外科系連合学会
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