1990 年 63 巻 9 号 p. 522-527
金属アルコキシドを原料として, シリカのポリメリゼーションを抑制した原液ゾルを調製し, その原液からディップコート法により安定なシリカコーティング被膜を調製した。得られた被膜は, レインボーカラーを呈し, 強度が強く, 安定である。安定な膜の成膜性は原液ゾルの状態とディップコート時の下地となる基材の引き上げ速度に依存し, 原液ゾル調製の際のケイ酸エチル対水の量が5対4以下であることが望ましく, また, 引き上げ速度が10mm/sec以下であることが必要であった。一方, 各種条件のもとで調製した膜のFT-IRスペクトルを4,300~400cm-1の領域で測定し, シリカの骨格振動に帰属する吸収帯のうち, 1,210, 1,140および1,060cm-1の吸収帯が成膜性と関係あることがあきらかとなった。