色材協会誌
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長期防汚性の研究 (IV)
海藻類駆除のための防汚性高分子の利用
赤金 華津男G. G. ALLAN
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1973 年 46 巻 6 号 p. 370-375

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抄録

付着海藻類の駆除と新たな付着を長期にわたって防ぐために活性持続型高分子の研究を行なった。活性毒物を天然に存在する用途の少ない高分子へ化学的に結合させて防汚性高分子にした。すなわち, リグノスルポン酸塩, リグニン, 樹皮繊維の製紙工場の出す廃物樹脂および繊維, カニ, エビ, 貝類のカラ, およびそれらに含まれるキチン, 海藻に含まれるアルギソ酸などに2, 4-ジクロルフェノキシ酢酸の酸クロリド, トリブチルスズオキシド, およびペンタクロルフェノールとトリアジントリクロリドとのモノクロルアダクトを化学的に付加した。得られた防汚性高分子は単量体毒物よりも海藻類に対し長期間防汚性を示した。
さらに潮の流れのある場合とない場合における防汚性について検討した。その結果溶出された毒物が蓄積されるような状態, すなわち潮の流れの緩慢な所では潮流により毒物が蓄積されない状態よりも海藻i類を死滅させるのに時間がかかった。すなわち毒物が継続的に徐々に蓄積される条件のもとでは海藻類は毒物に対して抵抗力を持つようになると推定される。それゆえ全体を通じてみた場合, 初期溶出速度の大きい単体毒物よりも速度の小さい高分子毒物の方が有効であり, 不必要な溶出による環境汚染も防止でき, かつ長期間防汚できることがわかった。

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