色材協会誌
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感光性樹脂用増感剤N鱈アセチル関4-ニトロ-1-ナフチルアミンの合成
津田 穣西久保 忠臣笈川 節子三宅 良一
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1972 年 45 巻 3 号 p. 152-158

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抄録

ポリケイ皮酸ビニルのすぐれた増感剤であるN-アセチル-4-ニトロ-1-ナフチルアミンの原料として用いられる4-ニトロ-1-ナフチルアミンの選択的合成法について研究した。原法は, Organic Syntheses (文献4) に与えられているが, 反応条件が工業的製法として適当でない。本報の方法では, 一定量の生成物を得るに要する原料の量は, 原法に比べて1一ニト戸ナフタリンは1.35倍であるが, 塩酸ヒドロキシルアミソは0.27倍, 水酸化カリウろは0.29倍, 溶媒は0.18倍であり, 反応時間は1/2である。
改良した合成法は次の通りである。59の水酸化カリウムを20mlのメタノールに溶かしておぎ, これを, 45℃に保った5gの1-ニト戸ナフタリンと2.5gの塩酸ヒドロキシルアミンのエタノール溶液 (40ml) 中に一度に加える。50-60℃で1時間かきまぜたのち, 反応液を500mlの氷水中に落し, 生成した固体を集め, 十分に水で洗う。3gの活性炭を用いて, エタノール (120ml) 中で色抜きを行なったあと, 再結晶する。精製物の収率は1一ニトρナフタリンに対して33.5%, 塩酸ヒドロキシルアミンに対して27.9%で, 原法では, これが各々45.8%, 7.4%となる。融点195-196℃。
π電子系に関するヒュッケル分子軌道の計算を行ない, その結果を用いて反応機構についての考察を行なった。しかし, 計算結果からは, 本報の合成法が, 4一ニト官一1一ナフチルアミンの選択的合成法であるという結論は得られなかった。
参考のための原料費 (4一ニトロー1一ナフチルアミソ1kg製造に要する額)
単価本法文献
1-ニトロナフタリン300円/kg2.7kg810円2.0kg600円
塩酸ヒドロキシルアミン800円/kg1.35kg1080円5.0kg400円
水酸化カリウム 70円/kg 2.7kg 189円 9.4kg 658円
エタノール 105円/l 21.6l 2268円 120l 12600円
メタノール 36円/l 10.8l 389円60l 2160円
4736円 1200185円 4.22

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