日本透析医学会雑誌
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原著
透析患者の結核補助診断におけるQuantiFERON®TB-2Gの有用性について
井上 剛中村 太一片桐 大輔星野 太郎多田 真奈美柴田 真希日ノ下 文彦
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キーワード: 診断, 結核, 透析
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2008 年 41 巻 1 号 p. 65-70

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抄録

背景:日本は結核発生率がほかの先進諸国に比べ高く,なかでも透析患者における結核発生は非常に多いことが知られている.しかも,透析患者では肺外結核の割合が高く診断に苦慮する症例が多い.最近,新たな結核補助診断法としてBCG接種の影響を受けない体外診断検査法QuantiFERON®TB-2G(QFT)が開発され,一般患者での有用性が示されているが,免疫能が低下している透析患者における有用性は示されていない.今回われわれは少数ではあるがQFTの透析患者での有用性を検討した.方法:活動性結核症例5例,非結核症例24例,陳旧性結核4例の計33例の透析患者でQFTを検討し臨床診断結果と比較評価した.結果:33例中QFT陽性が6例.そのうち5例が活動性結核であり,1例は陳旧性結核症例.陰性14例中13例は非結核症例で1例は陳旧性結核症例.判定保留5例中非結核症例が3例,2例は陳旧性結核,判定不可8例はいずれも非結核症例であった.また,この中で臨床の現場で診断に苦慮すると思われる不明熱および原因不明の胸水症例9例について検討すると,5例がQFT陽性であり,そのいずれもが肺外結核.残り4例はいずれもQFT陰性でありSLE胸膜炎,感染性心内膜炎,感染性大動脈瘤,原因不明が1例ずつであった.結論:以上の結果より,透析患者においてもQuantiFERON®TB-2Gは肺外結核の診断に有用であることが示唆された.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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