脳卒中
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原著
頭蓋内主幹動脈狭窄に対するballoon拡張型stentを用いた stent留置術
天神 博志萬代 綾子梅林 大督小坂 恭彦中原 功策久保 哲山本 康正
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2010 年 32 巻 3 号 p. 261-267

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抄録

14例の頭蓋内主幹動脈狭窄に対してballoon拡張型stentを用いてstent留置術をおこなった.病変部位は内頸動脈petrous portion及びcavernous portion(以後C45)10例,頭蓋内椎骨動脈及び脳底動脈(以後VABA)3例,中大脳動脈M1部(以後M1)1例であった.1例でMRI plaque imageを参考としstent留置術をおこなった.その結果,狭窄改善率は65±20%であった.13例で経過観察中に虚血症状を認めなかった.12例では追跡血管撮影で50%以上の狭窄にはならなかった.脳底動脈に3×15 mmのstentを留置した1例は再狭窄を認めたため追加PTAをおこなった.中大脳動脈に2.25×8 mmのstentを留置した1例は経過観察中に閉塞をきたした.周辺血管の径はC45:3.9±0.7 mm,VABA:3.0±0.3 mm,MC:2.2±0.2 mmであった.
 Balloon拡張型stentを用いた頭蓋内主幹動脈狭窄病変の治療は症例を選べば血管拡張率が高く虚血症状の予防効果も高く有用な治療であった.特に内頸動脈petrous portion及びcavernous portionでは有用であった.7 mm以内のshort segmentで元血管が3 mm径程度以上の病変では経過観察中にも再狭窄をおこす率は比較的低かった.MRI plaque imageにより血管壁情報を吟味したstent留置術は有用な手法になりうると考えられた.

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© 2010 日本脳卒中学会
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