脳卒中
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慢性期ラクナ梗塞患者のリンパ球接着分子(LFA-1・VLA-4),血管内皮細胞接着分子(ICAM-1・VCAM-1)の発現および血清サイトカインに対するIbudilastの作用
野村 恭一高砂子 由佳子木下 俊介三井 隆男富丘 亮島津 邦男
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2005 年 27 巻 2 号 p. 304-310

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抄録

脳梗塞の病態に白血球,血管内皮細胞接着分子の関与が注目されている.今回,PDE阻害作用を有するibudilast(ケタスR)のリンパ球,血管内皮細胞の接着分子の発現,および血清サイトカインに対する作用について検討した.慢性期ラクナ梗塞8例,健常対照26例を対象とし,慢性期ラクナ梗塞患者にはibudilast30mg/日を3カ月間投与した.慢性期ラクナ梗塞患者と健常対照の比較では,血管内皮細胞接着分子(slCAM-1,sVCAM-1),およびTNF-aを除く血清サイトカイン(IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-5,IL-10)は有意に高値を示した.ibudilast投与後のsICAM-1,sVCAM-1は,投与前に比較しいずれも有意に低下した(p=0.0499,P=0.0280).一方,リンパ球接着分子および,血清サイトカインには有意な変化はなかった.ibudilastは,慢性期ラクナ梗塞患者の血管内皮細胞接着分子を抑制し,脳血管障害の再発を予防する可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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