脳卒中
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激症経過をとった大脳基底核部出血の臨床病理学的研究
特に中脳病変について
保坂 泰昭金子 満雄後藤 昇
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1980 年 2 巻 3 号 p. 246-254

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抄録

過去6年来脳卒中の早期診療に努め, 外側型脳出血に対しては超早期手術を推進してきたが, この様な大脳基底核部出血中には約10%前後の割合で発症後2~3時間以内に脳幹症状を呈して不可逆状態に陥いる激症型と呼ぶべき脳出血症例がある.短時間で死亡するため剖検の承諾を得るのは非常に困難であるが, この様な激症経過をとった大脳基底核部13例について剖検を得, 興味ある結果を得た. (1) 外側型 (被殻外包) 出血では短時間で大血腫を形成し, 血腫そのものにより脳ヘルニアを生じ, また中脳, 橋上部に続発性出血を起こしていたs全例に中脳の圧排, 挫滅, 変形, 出血のいずれかが認められた. (2) 激症経過をとった視床出血では血腫は下方に進展し, 直接に視床下部, 中脳を破壊していた. (3)「混合型」出血の多くは視床出血の進展型と考えられた. (4) いずれの例にも延髄, 下部橋には肉眼的所見を認めず上記の様な中脳の破壊が死亡の主因をなすと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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