脳底動脈狭窄と左上小脳動脈閉塞を生じた18歳の1例を報告する.意識障害で発症し, 神経学的には, 右顔面の知覚障害, 右顔面神経麻痺, 構音障害と右半身麻痺が認められた.CTとMRIにて, 橋と左小脳上内側に虚血巣があり, 椎骨動脈撮影 (VAG) では, 左上小脳動脈の閉塞と脳底動脈のビーズ状の狭窄が認められた.一時的に神経症状が悪化し, MRIでは, 左下丘に異常信号域が拡大していた.この時のVAGでは, 左上小脳動脈だけでなく, さらに左後大脳動脈閉塞も生じた.保存的治療により, 右半身麻痺は改善し, 歩行可能となった.第3および4回目のVAGにて動脈の閉塞の正常化が確認された.神経脱落症状も軽微なまでに回復した.本症例の病因は原因不明の血管炎と考えられた.