脳卒中
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脳血管写上自然消失が認められた脳動静脈奇形の1摘出例
田崎 薫島 健西田 正博山田 徹西田 俊博
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1990 年 12 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

脳動静脈奇形 (AVM) の脳血管写上の自然消失を認めた報告は稀である.著者らは, 14年の経過で, 脳血管写上完全に自然消失したAVMの1例を経験し, 難治性の痙攣に対し手術を施行して, 血栓化したAVMを認め, 摘出したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は45歳の男性で, 1967年2月, 突然激しい頭痛と言語障害, 左半身麻痺が出現し, 近医で脳内出血と診断された.1970年より痙攣発作を繰り返したため, 1971年7月, 中国労災病院に紹介入院となった.右頚動脈写で, 後側頭動脈をfeeding arteryとする5.5×4.0×5.0cmのAVMを認めた.保存的治療にて経過観察していたが, 痙攣発作, 意識消失発作を繰り返した.1973年6月には, くも膜下出血で入院した.1985年4月, 右頚動脈写で, AVMは完全に消失していた.難治性の痙攣に対して開頭術を施行し, 血栓化したAVMを認め, 摘出した.術後, 痙攣は消失した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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