脳卒中
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脳梗塞後のlate seizure, 特に痙攣発作に関する臨床的検討
高橋 若生吉井 文均山本 正博矢崎 考二篠原 幸人
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1990 年 12 巻 4 号 p. 346-350

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抄録

脳梗塞発症後に出現する1ate seizure (痙攣発作) の臨床的特徴について検討した.対象は1977年から1988年の間に東海大学神経内科を受診した脳梗塞患者1,050例中, 脳梗塞発症2週間以降に痙攣発作を呈した43例 (男性26例, 女性17例) で, 年齢は45歳~83歳 (平均年齢±S.D. : 67±10歳) である.
脳梗塞からseizure発症までの期間は1ヵ月から19年に及ぶが, 1年以内に発症した症例が12例で最も多く認められた.脳梗塞の部位では中大脳動脈皮質枝領域のみに病変が限局する症例が24例 (58%) と最も多く, これに中大脳動脈穿通枝, あるいは前, 後大脳動脈皮質枝領域にも病変を有する例を含めると79%になった.基礎疾患としては, 高血圧が25例で最も多かった.Iateseizureの発症時期は11~1月の期間に16例あるのに対し, 6~8月は4例と少数であった.脳波所見の検討では, 棘波, 鋭波のいずれかの発作波を認めた例が22例あり, 局所性徐波のみを認めた例は17例であった.重積発作は高齢者に多く起こる傾向があり, 再発は脳梗塞から初発痙攣発作までの期間の短い例ほど起こりやすい傾向が認められた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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