脳卒中
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症例報告
くも膜下出血再発を繰り返したアスペルギルス性多発脳動脈瘤の1 剖検例
平井 聡小川 祐佳里木下 景太高井 洋樹松下 展久原 慶次郎戸井 宏行松原 俊二三上 友香西村 広健宇野 昌明
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2018 年 40 巻 3 号 p. 163-168

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抄録

今回,我々はくも膜下出血(SAH)を繰り返し死亡に至ったアスペルギルス性多発脳動脈瘤の症例を報告する.症例は83 歳男性.難治性の頭痛に対して巨細胞性動脈炎が疑われ,当院神経内科でプレドニン® 内服で約8 週間入院加療されていた.入院時と入院後のMRI では特に異常を認めなかったが,突然SAH を発症し当科に転科となった.緊急DSA で右内頸動脈(ICA)に動脈瘤を認めコイル塞栓術を施行した.経過から感染性動脈瘤を疑ったが,真菌抗体検査および培養検査は陰性であった.Day 5 の頭部MRI で右ICA に新たに多発性動脈瘤を認め,再度コイル塞栓術を施行した.しかしその翌朝に急変し,頭部CT ではSAH の再発を認めた.Day 7 に永眠され剖検を施行し,脳動脈瘤壁および頭蓋底硬膜など広範囲に及ぶ著明なアスペルギルス感染所見を認めた.アスペルギルスの頭蓋内感染において感染経路や治療方針に関して,未だエビデンスが少ないのが現状である.

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© 2018 日本脳卒中学会
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