2013 年 24 巻 1 号 p. 24-31
本稿では,バイオマス・ニッポン総合戦略に基づくバイオマスタウン構想を公表した政令指定都市で,特に構想の主たる内容が一般廃棄物の食品廃棄物 (生ごみ) の循環利用と定められている名古屋市と札幌市をとりあげ,両市のバイオマスタウン構想の内容と実績を比較した。また,自治体レベルにおける生ごみリサイクル事業の実効性および事業継続性に関しても検証を試みた。
両市はバイオマスタウン構想による交付金で民間の飼料化施設,堆肥化施設を整備し,主に事業系生ごみの資源化を進めたが,家庭系生ごみの資源化については断念する方向にある。そのためアンケート調査からは,市民の生ごみリサイクルに対する肯定意識は約 75 %,行動意欲も約 80 % と高いが,バイオマスタウン構想の認知度は 4 % 弱という結果が得られた。つまり,関係するアクターの協働に関わらず,都市部においてはリサイクルの環が繋がり,事業性が確保されている生ごみ資源化事業は継続するものと考えられる。