日本耳鼻咽喉科学会会報
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鼻アレルギー鼻粘膜好塩基性細胞の研究
第6報 好塩基球と肥胖細胞の関係
大塚 博邦奥田 稔坂口 喜清
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1984 年 87 巻 2 号 p. 141-148

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抄録

1. スギ花粉症を対象にスギ花粉末を鼻内に散布して誘発し,その前後の血中,鼻汁中,下鼻甲介粘膜表面擦過片中の好塩基球,肥胖細胞の変動をみることにより,好塩基球と肥胖細胞の関係を検討した.
2. 血中好塩基球は誘発1時間で減少し,2時間で再び増加した.
3. 鼻汁中の好塩基球は誘発2時間後に増多した.肥胖細胞の出現はわずかであり,誘発前後における一定の傾向はなかった.
3. 擦過片中の肥胖細胞数は誘発前,後2時間では著変なかったが好塩基球は著明に増多した.以上のことから好塩基球は脱顆粒を起こした肥胖細胞の代償的役割として血中から局所に遊走するものと考えられた.
5. また,血中,鼻汁中,擦過片中の好塩基球,肥胖細胞,好酸球のそれぞれの増多は各症例間で互いに相関性があり,感作程度の違いによってともに増減した.

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