日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
原著
破折歯による歯性上顎洞炎の病態と治療
佐藤 公則
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 111 巻 12 号 p. 739-745

詳細
抄録

破折歯による歯性上顎洞炎6例を検討した.
1) 破折歯による歯性上顎洞炎の病態を考える上で破折歯の分類 (歯冠, 歯冠と歯根, 歯根の破折) は有用であった. 2) 歯髄腔が開放された破折歯による歯性上顎洞炎と歯髄腔が開放されていない破折歯による歯性上顎洞炎の病態は異なっていた. 3) 歯髄が開放されていない破折歯では, 外傷による外力により根尖孔部で歯髄が損傷され, 根尖性歯周炎を来し, この根尖病巣が原因で歯性上顎洞炎を来すと推測した. 4) 歯髄が開放された破折歯では, 開放された歯髄が感染することにより根尖性歯周炎を来し, この根尖病巣が原因で歯性上顎洞炎を来すと推測した. 5) 歯の外傷の一つである破折歯による歯性上顎洞炎の可能性も念頭に置いて, 上顎洞炎の診療にあたる必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top