日本東洋医学雑誌
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小児の湿潤な皮膚病変に対する紫雲膏の使用経験
千葉 庸夫菊地 百合子
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キーワード: 紫雲膏, 熱傷, 外陰部潰瘍, 小児
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1994 年 44 巻 3 号 p. 437-442

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抄録

紫雲膏は熱傷や痔疾患に用いられその有効性が認められているが, 敬遠されやすい特有なにおいを有すること, 衣類に付着すると色が染まること, さらには乾燥性の病変が適応となることなどの制限が有り小児期ではそれほど頻用されている軟膏ではない。しかし本膏には殺菌作用があり, またケロイドを作らず瘢痕の形成が抑制されるという優れた作用が有ることから, われわれは小児例で, 潰瘍をともなった外陰部の血管腫, および熱傷の例に使用した。いずれも湿潤性の患部ではあったが乾燥化が早く, 瘢痕形成も無く治癒した。軟膏の塗布の際に充分練ってひきのばすようにすれば本膏は湿潤性の創部にも使用可能であると思われる。

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