日本東洋医学雑誌
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狭心症の針治療
内関を中心として
岡 孝和津田 泰夫鈴木 伸加治 良一金谷 庄蔵藤野 武彦
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1987 年 38 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

虚血性心疾患に対する針治療は, その有効性が報告されており, 特に内関は頻用される経穴であるが, その作用機序に関しては不明な点が多い。
今回われわれは, 虚血性心疾患で心臓カテーテル検査を行った患者に, 内関に針刺激を施し, 冠動脈径に与える影響をみた。その結果, 内関は冠動脈拡張作用があることが確められたが, Isosorbide dinitrate のそれより弱かった。ところが, 亜硝酸剤を含む薬物療法でコントロールが難しかった患者が, 内関を中心とした針治療により胸痛発作が消失した。このことより針治療は自律神経のアンバランスを是正する働きがあることが推測された。内関に関して現在生理学的に明らかにされていることを含めて文献的考察を行い報告した。

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