日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
総説
抗血小板抗体の検出とその臨床的意義
冨山 佳昭
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 64 巻 6 号 p. 681-687

詳細
抄録

輸血医学において重要な血小板抗体として,1)Human Platelet Antigen(HPA)抗体,2)イソ抗体,3)HLA抗体,が挙げられる.これらの抗体は,妊娠や輸血により誘導される抗体である.HPA抗体は,血小板膜糖蛋白(GP)の多型により,イソ抗体は,血小板膜GPの欠損(例えばCD36欠損)により誘導される抗体である.これらの抗体は,血小板輸血不応状態や新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)を引き起こす.

血小板輸血不応状態の原因としては,発熱,出血,感染などの非免疫性原因に起因する場合と,HLA抗体など免疫性原因に起因する場合がある.TRAP試験での解析では,両者を輸血後1時間後のCCI値で鑑別することは困難であるとの成績である.NAITの主要なHPA抗体は,欧米ではHPA-1a抗体であるが,本邦ではHPA-4b抗体が最も多く,人種によってNAITの原因となるHPA抗体は異なっている.上記の抗体に加え,特発性血小板減少性紫斑病で検出される血小板自己抗体も留意する必要がある.

本稿では,これら血小板抗体の検出法および抗体の臨床的意義につき概説する.

著者関連情報
© 2018 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top