日本臨床外科学会雑誌
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症例
劇症型敗血症の経過を辿った開腹胆嚢摘出術後のAeromonas sobriaの1例
河毛 利顕菅原 由至
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キーワード: Aeromonas, 術後, 敗血症
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2015 年 76 巻 1 号 p. 110-116

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抄録

開腹胆嚢摘出術後に急激な経過を呈したAeromonas sobria感染の1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.落下結石性胆管炎に対して内視鏡的乳頭筋切開(EST)術を施行し,再発予防のため胆嚢摘出の適応となった.術中,胆汁滲出による軽度の汚染があったが,通常通り術野を洗浄し終了した.術後35時間頃突然,ショック状態となった.CTで創部の筋層・皮下にガスを認めたため,筋膜縫合部まで開放したところ腐敗臭を伴う排液を認めた.血液,創,便より本菌が検出された.創洗浄,広域抗生剤投与,循環呼吸管理,さらに血液浄化を施したが,敗血症による多臓器不全のため死亡した.本例は井戸水を常飲しており,自然水中に広く分布する本菌が保菌状態にあり,ESTが影響して胆道に潜伏していたと推定した.本属菌の創傷感染は急激に重篤化する特徴を有するため,消化器術前における井戸水飲用の問診に対して注意が喚起された.

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© 2015 日本臨床外科学会
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