2014 年 75 巻 3 号 p. 787-792
症例は60歳の女性で,集団検診で胆嚢結石症を指摘され,待機的手術を予定された.50歳台に総胆管拡張を指摘され,精査目的にERCPを施行されたが明らかな異常所見なく経過観察されていた.術前精査の造影CTおよびMRCPで肝内胆管・総胆管の軽度拡張および胆嚢頸部に径2cm大の胆嚢結石を認めたが,明らかな胆道系走行異常は指摘されなかった.胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術中所見で右前枝胆管と胆嚢を交通する副交通胆管枝を認めた.周囲剥離およびテーピングが可能であったため,術中胆道造影で確認した上でクリッピング処理し切離した.術後一時的な肝酵素上昇を認めたが自然軽快し,術後経過は良好であった.
副交通胆管枝はまれな胆道系走行異常であり,文献的考察を加え報告する.