日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨盤内chronic expanding hematomaの1例
中原 健太日高 英二竹原 雄介向井 俊平石田 文生工藤 進英
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3379-3383

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抄録

症例は59歳の男性.頻尿を主訴に受診.CT検査では骨盤内に回腸,直腸,膀胱を圧排する70mm大の腫瘤を認めた.MRI検査ではT2強調像で低信号の被膜を有し,腫瘤内部は低信号域と高信号域が混在したモザイク状であった.骨盤内悪性腫瘍を疑い,摘出手術を施行した.腫瘤は周囲の腸管と強度に癒着していたため,回腸と直腸を合併切除して腫瘤を摘出した.病理組織学的には線維性被膜下に拡張した血管が存在し,広範囲に出血壊死を伴っていた.悪性所見は認めずchronic expanding hematomaと診断した.本疾患は悪性疾患との鑑別が問題となる.また,治療としては被膜も含めた完全切除が必要である.しかし,遷延する炎症や出血のため周囲との癒着が高度であることが多く,完全切除のために隣接臓器の合併切除を要することも多い.本症例のように腹腔内での報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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