2014 年 75 巻 9 号 p. 2367-2373
目的:幽門狭窄を伴う切除不能胃癌において,胃腸バイパス術後のS-1ベース化学療法について認容性と有用性を検討した.
方法:対象は,2006年から2010年にバイパス術を施行した狭窄を伴う切除不能胃癌連続39例.
結果:化学療法を希望した33例中,32例に化学療法を施行した.S-1ベース化学療法は26例に施行され,治療成功期間は6.8カ月で根治切除術を施行した1例を除き25例が増悪(PD)まで継続できた.S-1ベース化学療法施行例における手術からの生存期間中央値は13.4カ月であった.
結語:通過障害のある切除不能胃癌に対する胃腸バイパス術後のS-1ベース化学療法は,認容可能で有用な治療の一つであると考えられた.