2013 年 74 巻 2 号 p. 376-379
症例は72歳の女性.胆嚢ポリープの経過観察中の腹部CTおよび腹部超音波検査で,右胸水を指摘された.自覚症状はなく,経過観察を受けていたが,2年後の腹部CT検査で増大傾向を認めたため,胸部造影CT検査を施行した.異常陰影内に造影効果を伴う充実成分が疑われ,診断と治療を兼ねて胸腔鏡手術を施行した.胸腔内に右肺下葉から懸垂する腫瘤を認め切除した.病理診断はsolitary fibrous tumorであった.今回,横隔膜部に異常陰影を認めながら胸水として経過観察をしたsolitary fibrous tumorの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.