日本臨床外科学会雑誌
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症例
手術によりQOLが改善した乳癌の心膜・小腸転移の1例
毛利 かの子横井 圭悟鈴木 貴久塚田 健次織畑 道宏尾花 正裕山崎 滋孝
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2191-2195

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抄録

症例は58歳,女性.前医で1995年に左乳癌に対し乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行.その後2度の胸壁局所再発に対し腫瘤切除,放射線治療,化学療法が施行された.それ以後再発は認めず2008年前医終診となった.2010年からイレウスを繰り返し当院内科で保存的に治療されていた.2011年3月呼吸困難を主訴に受診,心タンポナーデの診断で心嚢穿刺を施行.細胞診で乳癌による癌性心膜炎と診断された.4月,再度のイレウス症状出現.小腸に狭窄部位を認めたため小腸部分切除術を施行し,乳癌小腸転移と診断された.5月に再度心タンポナーデとなったため胸腔鏡下心膜開窓術を施行した.術後よりレトロゾール内服開始し,現在まで症状再発は認めていない.
乳癌は様々な部位に転移をおこすが,外科的治療が選択されることは多くない.今回小腸転移心膜転移にそれぞれ外科的治療を施行し,良好なQOLを得た症例を経験したのでここに報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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