日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術時の遺残結紮クリップが原因と考えられた腹壁膿瘍の1例
寺川 裕史中沼 伸一芳炭 哲也岩田 啓子経田 淳桐山 正人
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2045-2049

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抄録

症例は79歳,男性.2009年10月,急性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行され,術後経過良好で第7病日に退院した.退院後は内科で糖尿病の治療を受けていた.2011年3月,右側腹部痛を認め当科を受診した.腹部CT検査で右側腹壁に径11cmの膿瘍を認め,膿瘍内に金属片を認めた.金属片は形状から,前回手術時の結紮クリップ(以下,クリップ)と考えられた.膿瘍は経皮的穿刺ドレナージで消失したがクリップによる膿瘍の再燃が危惧されたためクリップ摘出術を行うこととした.腹部超音波検査にてクリップの位置を確認しX線透視下に腹壁筋層内よりクリップを摘出した.クリップ遺残による腹腔内膿瘍形成の報告は稀に認めるが腹壁膿瘍形成の報告はこれまでに認めていない.腹腔鏡下手術時におけるクリップ遺残は膿瘍形成の原因となることがあり,不必要な落下クリップはすべて回収することが大切であると考えられた.

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