日本臨床外科学会雑誌
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症例
歯肉原発のdesmoplastic melanomaの肝転移に対して手術を施行した1例
高岸 智子仲井 理小出 正樹梶原 正章金児 潔増田 道彦
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1503-1507

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抄録

歯肉原発のdesmoplastic melanoma(DM)の肝転移に対して手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は57歳,女性.前院にて難治性歯肉潰瘍に対して切除生検し,悪性黒色腫と診断された.全身検査にて肝転移を指摘され化学療法を施行したが改善を認めなかったため当院紹介となった.精査にて歯肉および肝臓以外には病変を認めなかったため肝拡大左葉切除を施行した.摘出標本では最大径90mmの白黄色の多発肝転移を認め,病理組織検査で線維化を伴う紡錘形細胞腫瘍でDMと診断された.術後社会復帰したが,8カ月より食欲低下が出現し全身転移を認め術後13カ月で永眠された.悪性黒色腫の遠隔転移症例は予後が極めて不良であり,その中でDMは悪性黒色腫の中でも診断がもっとも難しい一つであるが,今回術後13カ月の生存期間を得られたため文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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