日本臨床外科学会雑誌
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症例
FDG-PETで集積亢進を呈したS状結腸間膜神経鞘腫の1例
枝園 和彦久保 義郎小畠 誉也野崎 功雄棚田 稔栗田 啓
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キーワード: 神経鞘腫, 腸間膜腫瘍, PET
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2010 年 71 巻 2 号 p. 541-545

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抄録

症例は66歳,女性.夜間の繰り返す腹痛を自覚し,近医にて腹部CT検査を施行したところ,腹腔内に5cm大の腫瘤を指摘された.当院で行ったPET-CT検査では,S状結腸間膜にFDGの集積亢進を呈する比較的境界明瞭な腫瘤を認めた.画像検査上悪性腫瘍も否定できず,開腹下に腫瘍切除術を行った.開腹所見では,腫瘍はS状結腸間膜に存在し,下腸間膜動脈を巻き込んでいた.切除した腫瘍は,5.0×4.8×3.5cm大の境界明瞭で被膜を持った弾性硬の病変で,割面は黄白色を呈していた.病理組織学的には,紡錘形細胞の束状に錯綜した増生が主体で,中心部には泡沫細胞の集簇を認めた.免疫染色ではS-100陽性,CD34,CD117,α-SMA陰性で,神経鞘腫と診断した.明らかな悪性所見は認めなかった.FDG-PETで集積亢進を呈したS状結腸間膜良性神経鞘腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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