日本臨床外科学会雑誌
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症例
慢性骨髄増殖性疾患に併存した脾破裂の1例
岡田 有史小笠原 仁小林 完中井 款大石 晋舘岡 博
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2010 年 71 巻 10 号 p. 2705-2709

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抄録

症例は82歳,女性.2日前より特に誘因なく左背部痛が出現し,外来受診するも腹部超音波検査では特に異常を認めず経過観察となった.その後嘔気,食欲不振も出現し,腹部CT検査にて脾破裂が疑われ,外科へ紹介となり,緊急手術となった.開腹したところ約1,000mlの血性腹水を認めた.脾臓は20×11×5cmと腫大し,被膜断裂,被膜下血腫を認め,脾破裂による腹腔内出血の診断となり,脾臓摘出術を施行した.また,近医での血液検査の結果より,血液疾患の存在が疑われ,骨髄検査にて慢性骨髄増殖性疾患(Chronic Myeloproliferative Diseases:以下CMPD)の診断となった(フィラデルフィア染色体は陰性).特発性脾破裂の報告は散見されるが,CMPDに発症した脾破裂は本邦5例目であり,非常に稀であるため,文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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