日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性胆嚢穿孔の2例
遠藤 俊治小関 萬里畑中 信良富永 春海黒住 和史上池 渉
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2009 年 70 巻 2 号 p. 501-506

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抄録

症例1は86歳,女性.右季肋部痛を主訴に当院救急搬送.腹部CT検査では胆嚢は萎縮し周囲に腹水貯留を認めた.胆嚢摘出術を施行.病理検査では,胆嚢体部から底部にかけ壊死が見られ,急性潰瘍による穿孔がみられた.症例2は82歳,女性.心窩部痛を主訴に当院救急搬送.CTでは胆嚢は萎縮し周囲に腹水貯留を認め,胆嚢摘出術を施行した.病理検査では,底部に壊死を認めた.2例とも胆嚢内に結石はなく胆嚢の炎症所見は乏しく,腹水培養検査は陰性で,特発性胆嚢穿孔と診断された.
胆嚢穿孔はほとんどが胆石症や急性胆嚢炎によるものであり,それらの原因を認めない特発性胆嚢穿孔は比較的稀で,本邦ではこれまで32例の特発性胆嚢穿孔の報告がある.文献的考察を加え報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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