2009 年 70 巻 12 号 p. 3495-3502
目的:大腸癌に対する腹腔鏡補助下リンパ節郭清の安全性・根治性に関し,利点・欠点をもたらす因子を明瞭にすることを目的とした.方法:広島県内26施設の外科医に,大腸癌リンパ節郭清において開腹手術に対する腹腔鏡補助下手術の利点・欠点をアンケート調査した.手術経験総数に応じて経験豊富な施設,中等度の施設,寡少な施設に分類し,分析した.結果:経験豊富な施設,中等度の施設,寡少な施設は,それぞれ8,7,11施設認めた.この手術の利点は,経験数の多寡に係わらず,拡大視および開腹では得られない視野であった.その欠点は,経験豊富でない施設で見られ,術者の技術不足,助手の視野展開の悪さ,およびスコーピストの技術不足により良視野が獲得されないというものであった.結論:腹腔鏡補助下での大腸癌リンパ節郭清の安全性・根治性の獲得には,術者・助手・スコーピストの協調作業による良視野確保が重要であり,手術チームで解決すべき問題である.