日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前診断した大網裂孔ヘルニアの1例
藤原 立樹倉持 純一星野 直明小野 千尋西岡 良薫西村 久嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 68 巻 12 号 p. 3110-3114

詳細
抄録

症例は70歳, 男性. 心窩部痛, 嘔気を主訴として来院. 腹部単純撮影で右上腹部に鏡面像を認め, 腸閉塞が疑われ, 同日入院となった. イレウス管を挿入し造影したところ, 右上部小腸にcoffee bean signを認めた. 腹部CT検査では, 横行結腸の腹側に拡張した小腸係蹄を認めた. 画像所見より大網裂孔ヘルニアと診断した. 保存的治療では難しいと判断し, 手術を施行した. 開腹すると, 大網に約4cmの裂孔を認め, Treitz靱帯より150cmの小腸が約30cmに渡って同部位に嵌入していた. 嵌入腸管は軽度の血流障害を認めたのみであったため, 腸切除は施行せず, 嵌入腸管を解剖学的位置に戻し, 裂孔を縫合閉鎖した. 術後経過は良好で, 術後12日目に退院となった.

著者関連情報
© 2007 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top