日本臨床外科学会雑誌
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術後早期イレウスを生じた腸間膜脂肪織炎の2例
安村 友敬赤池 英憲梶 理史野方 尚矢川 彰治小澤 俊総
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2587-2592

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抄録

今回われわれは,開腹術後早期に腸間膜脂肪織炎による腸閉塞を生じた2症例を経験した.(症例1) 52歳,男性.平成15年12月25日S状結腸癌に対して高位前方切除を施行した.術後7日目,創部硬化が出現し, 11日目,嘔吐あり,腹部CT検査後に診断された.デキサメタゾンの投与を開始し,治療開始後28日目に治癒した.(症例2) 54歳,男性.平成16年8月11日直腸癌に対して高位前方切除を施行した.術後8日目嘔吐が出現,同様に創部は硬く,腹部CT検査で診断された.デキサメタゾンの投与を開始し,治療開始後24日目に治癒した.腸間膜脂肪織炎は原因不明の非特異性炎症性疾患であり,比較的稀な疾患とされてきたが,近年その報告例は増加している.しかしながら開腹手術後早期に本症を発症した報告例は少なく,本邦で18例であった.本稿では自験例の経過を報告するとともに,本邦報告例と併せ,その臨床像について検討する.

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