2005 年 66 巻 7 号 p. 1748-1752
症例は77歳,男性.アルコール性肝障害,糖尿病,高血圧の既往あり.食欲不振,腹痛を主訴に入院.翌日ショックとなり,陰嚢部の糜爛も発見されFournier's gangreneの診断で緊急手術となった.会陰,両陰嚢,肛門括約筋,肛門挙筋,下部直腸と広範囲の壊死がありデブリードメントを行った.術後のエンドトキシン吸着後よりショックから離脱し,肛門機能の廃絶があることと便汚染の防止目的に術後13日目に永久的人工肛門造設を行った.初回術後23週3日目に創がほぼ治癒し退院となった. Fournier's gangreneは急速に進行する会陰部,性器の壊死性筋膜炎で未だに死亡率が高い.糖尿病やアルコール中毒をもつ患者に多いとされ,このような基礎疾患を持つ患者は常に当疾患を念頭に置くことが早期発見に重要である.治療には早期の充分な壊死組織のデブリードメントが基本であるが,エンドトキシン吸着も有用と思われた.