日本臨床外科学会雑誌
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膵癌gemcitabine化学療法中に合併した薬剤性間質性肺炎の1例
浅岡 忠史東野 健中野 芳明加納 寿之矢野 浩司門田 卓士
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キーワード: 膵癌, 薬剤性間質性肺炎
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2333-2337

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抄録

症例は65歳男性.膵癌術後にgemcitabinを用いた補助化学療法を施行した. Gemcitabine 1,000mg/m2を週1回3週連続で投与し1週休薬するスケジュールで3クール施行し,総投与量は8,500mgに達した. 7回目の投与終了8日後より,発熱,呼吸困難,咳嗽,倦怠感を認め, Grade 4の呼吸器障害が出現.血液ガス検査ではPaO2 45mmHg, PaCO2 39mmHgと低酸素血症を呈し,胸部単純写真とCTでは両側下肺野を中心に間質性陰影を認めた. Gemcitabineに起因した薬剤性間質性肺炎と診断し,入院の上プレドニン60mg/日の静注を開始し,その後減量していった.治療開始1週間後には低酸素血症は改善し,画像上も著明な改善が得られ2週間後に退院となった.膵癌に対するgemcitabine長期投与例での間質性肺炎の合併例は稀であるが,重篤な副作用として注意が必要であると思われたので報告する.

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