日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸癌による閉塞性大腸炎腸間膜内穿孔の1例
坂本 吉隆浅海 信也金 容秀永渕 幸寿
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2003 年 64 巻 4 号 p. 945-948

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抄録

症例は72歳,女性.下腹部痛と嘔気を主訴に来院.下腹部に圧痛を認めたが筋性防御はなかった.腹部単純X線で骨盤内にガス像と腹部CTで内部比較的均一な腫瘤を認めた.注腸造影では造影剤が腫瘤部に漏出した.腸間膜への穿孔を疑い来院より6時間後,緊急手術を行った.開腹所見では,腹水を認めたが便臭は伴っていなかった. S状結腸間膜が手拳大の腫瘤を形成し,この肛門側に大腸癌を認めた.手術は高位前方切除を施行した.切除標本では,亜全周性に2型の腫瘍を認め,その口側約2.5cmに穿孔部を認めた.病理組織診断では腫瘍と穿孔部の間は浮腫を伴った正常粘膜よりなり,閉塞性大腸炎による腸間膜への穿孔と診断した.術後13日目に軽快退院した.

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