日本臨床外科学会雑誌
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腹腔鏡下に切除した肝外発育性肝血管腫の1例
鈴木 弘治土井 千春菅沼 伸康
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2003 年 64 巻 5 号 p. 1193-1197

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抄録

肝外発育性肝血管腫の1例を経験したので報告する.症例は50歳,女性.胃集検にて胃穹窿部の隆起を指摘され当院紹介された.腹部CT検査にて,胃近傍の一部濃染される腫瘍が認められ,腹部血管造影検査では左肝動脈の外側枝末梢の綿花様濃染像を持つ腫瘍が認められた.肝外発育性肝血管腫と診断され,腹腔鏡下手術が施行された.切除標本は3×2.5cm,病理組織学的には肝海綿状血管腫の所見であった.肝外発育性肝血管腫の報告は稀であり現在までに本邦では42例が報告されているにすぎない.自験例を含む43例の平均年齢は55.9歳,男女比は14:28 (1例不明),腫瘍占拠部位は左葉:右葉:尾状葉が29:8:6,最大腫瘍径の平均は7.8cmであった.破裂症例は3例,腹腔鏡下手術が行われたのは3例であった.肝外発育性肝血管腫は,破裂の危険もあり,低侵襲でできる腹腔鏡下手術はよい適応と思われる.

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