日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前診断に苦慮した異所性膵組織を伴う空腸重複腸管の1例
伊藤 雄貴梶川 真樹岡野 佳奈浅田 崇洋奥村 徳夫渡邉 卓哉
著者情報
キーワード: 異所性膵組織, 重複腸管
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 3 号 p. 486-492

詳細
抄録

症例は59歳,女性.下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部造影CTで骨盤内に直径8cmの嚢胞性腫瘤と,造影効果を伴う直径3cmと2cmの2個の充実性腫瘤を認めた.小腸造影検査で骨盤内に嚢状に造影される病変を認め,小腸との交通が示唆された.小腸gastrointestinal stromal tumor (GIST)が腸管内に穿通したと診断し,開腹手術を施行した.術中所見ではTreitz靱帯より150cm肛門側の空腸に,腸間膜対側から分岐する長さ15cmの重複腸管を認め,また球状型の重複腸管に隣接して弾性硬な結節を触知した.この結節を含めた重複腸管切除術を行った.病理組織学的に充実性結節は異所性膵組織であることが判明した.異所性膵組織を伴った空腸重複腸管は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top