日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸平滑筋肉腫の1例
高島 幹展村井 俊文篠塚 高宏末岡 智阪井 満橋本 昌司
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2020 年 81 巻 10 号 p. 2045-2050

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抄録

症例は51歳,女性.貧血,倦怠感の精査のため,近医より紹介され当院を受診.小腸内視鏡検査にて下部空腸-上部回腸に3/4周を占める腫瘤性病変を認め,悪性リンパ腫あるいはGISTの疑いにて手術方針となった.術中,小腸に径12cmの腫瘤を認めた.同部位の腸管を分節切除し腸管吻合を施行した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.組織学的に固有筋層から連続する病変で,腫瘍細胞が錯綜配列を示していた.免疫染色ではα-SMA陽性,S-100,CD34,c-kit陰性で,平滑筋肉腫と診断した.退院後のフォローCTにて肝転移を認めたため,腹腔鏡下肝部分切除を行い, 病理検査にて小腸平滑筋肉腫の肝転移と診断された.その後,腹膜播種再発に対して化学療法を施行したが,初回手術から2年8カ月後に永眠した.小腸平滑筋肉腫は稀であり,極めて悪性度が高く,臨床的に注意を要する.

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