日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
アロマターゼ阻害剤による骨密度減少に対する支持療法
吉岡 遼小笠原 豊
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2020 年 81 巻 8 号 p. 1461-1466

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抄録

術後補助療法としてアロマターゼ阻害剤(AI剤)を5年間投与した閉経後乳癌患者87名を対象とし,骨密度低下に対する支持療法の効果について検討した.AI剤開始前に腰椎と大腿骨頸部の2箇所で骨密度を測定し,低い方のTスコアが-1.0以下には活性型ビタミンD3製剤(D3)を併用し,-2.5以下にはビスホスホネート製剤(Bis)またはデノスマブを併用し,1年毎に再評価し支持療法を変更した.AI剤開始時に支持療法を行わなかった症例(42例),D3を併用した症例(34例),Bisを併用した症例(11例)の5年後の骨密度変化率はそれぞれ-6.11%,-3.11%,+5.04%であり,AI剤投与下においてもBisの投与により骨密度は改善していた.また,骨密度低下の臨床的危険因子を検討したところ,60歳未満でAI剤を開始した患者において有意に骨密度の低下が大きく,閉経直後の患者にAI剤を投与する場合,より配慮が必要である.

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© 2020 日本臨床外科学会
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