2016 年 77 巻 1 号 p. 55-59
症例は41歳,男性.健診の腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘され,精査目的で近医受診した.腹部CT検査にて胃噴門部近傍に20mm大の腫瘤像を認め,EUS-FNA検査を施行され病理学的に神経鞘腫と診断された.以後経過観察となったが,増大傾向を認めたため手術目的で当院紹介受診となった.当院腹部CT検査では胃小彎側に左胃動脈と近接する30mm大の境界明瞭な腫瘤像を認め,EUS検査では腫瘤は胃の筋層との連続性は認めなかった.手術は腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は左胃動脈神経叢と連続しており,同神経叢由来の神経鞘腫と考えられた.左胃動脈神経叢由来の神経鞘腫は稀であり,文献的考察を加え報告する.