日本臨床外科学会雑誌
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症例
上部直腸に発生した腺扁平上皮癌の1例
高原 秀典永吉 直樹多代 尚広横山 正實光 章
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1180-1184

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抄録

症例は80歳,男性.下血を主訴に来院し,下部内視鏡検査にて上部直腸に径35mmのtype I腫瘍を認めた.生検結果はsquamous differentiationを伴う腺癌で,腹腔鏡補助下低位前方切除術(D3郭清)を行った.病理組織学的検査では adenosquamous carcinoma,pSS,int,INFb,ly3,v2,pN2,pstage IIIbであった.術後第4週から術後補助化学療法としてUFT/LV療法を開始した.術後8カ月で多発肝転移を認めたため,bevacizumab+CapeOX,bevacizumab+FOLFIRI,panitumumab+FOLFOX療法を行ったが術後2年で多発性肝転移のため死亡した.腺扁平上皮癌は全大腸癌の約0.1%と非常に稀で,予後不良といわれている.本症例では術後化学療法を繰り返し2年間生存したので文献的考察を加え,報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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