2009 年 70 巻 5 号 p. 1406-1410
異所性膵にIPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm)様の病理所見を伴うMeckel憩室単独軸捻転例を経験した.患者は80歳男性で,イレウスの診断で当科紹介となり,腹部造影CT検査で回盲部にwhirl signを認めたため緊急手術となった.回腸末端から約150cmの腸間膜対側に10cm長のMeckel憩室があり,時計回りに180度軸捻転し右傍結腸溝に落ち込んでいた.mesodiverticular bandや索状物はなく,先端に2×4cmの充実性腫瘍を認めた.HE染色では腫瘍内に正常膵組織と拡張した膵管様構造を認め,アルシアンブルー染色で粘液産生が観察された.さらに,免疫組織染色によるムチンコア蛋白の発現様式からIPMNと診断された.1983年以降,Meckel憩室単独軸捻転は自験例以外に17例の報告があるにすぎず,また憩室の異所性膵にIPMNを認めたとの報告は無かった.